やった日 06.7/9
絶頂

H2O -FOOTPRINTS IN THE SAND-



事前情報と購入動機
 何となく。

 何となくばっかりだな俺…。
相変わらず事前情報は皆無、
主人公は目が見えないことすら知りませんでした。



ストーリー概要
 田舎に越してきた主人公。
そこで出会う3人の少女達と楽しい学園生活を送る…
と見せかけて差別問題的な困難とかに立ち向かいつつ、
最愛の人を見つけました…みたいなストーリー。



シナリオの感想とか
 タイトル通り、透き通るようなイメージが随所に溢れる作品でした。


 ひとまずテキスト面について。
誤字脱字がかなり多く、詮索を散策とか書かれると少々理解に苦しみますが、
軽快なトークで矢継ぎ早に繰り出されるギャグの数々はかなりヒット。
会話文のテンポはかなり良く、個人的には久々に声を出して笑うギャグも。

 それでいて心象風景のような観念的テキストも多く見られ、
そちらに関しては平たく言えば「ワケわかんねえ」とも言えちゃうのですが、
『終ノ空』よりはまだ理解出来るレベル。
難解に描かれている場面も多いものの、テキスト面では良い感じだと思います。


 シナリオ面では序盤〜中盤のイジメ問題が特に目を引きます。
(ああ…、俺、イジメられてる…!)
みたいな心臓を圧迫するかのような感覚、具体例を挙げるなら
『てのひらを、たいように』や『ユメミルクスリ』あたりでしょうか。

 この作品独自の試みであるブラインドネスモードとも相まって、
何とも言い知れぬ閉塞感が満ちていました。胸がドキドキ。心臓鷲掴み。
こういう重い話は好き嫌いが激しそうですが、読者を掴む事には成功していると思います。

 そんな圧迫感、閉塞感の中でも繰り広げられる軽快なギャグ。
笑いから重い話への急転直下。そしてまた笑いというアップダウン。

 2秒前まで爆笑してたのに今目の前には激鬱話という構成のお陰で、
何か引きつった笑顔のままゲームを進めることになりました。
端から見たら不気味そのもの。これはかなり斬新な感情だぜ…!

 但し後半はかなりご都合主義的な展開も。
「ここで終わっちゃうのかよ!」と思わず叫ぶ所で本編は終了しますが、
その後の物語は個人的には少々蛇足感も。

 本編以後の物語自体は面白く、無ければ無いで多分怒ったとも思いますが、
結局サブタイトルに全てが集約されているんじゃないかということを鑑みると
その後のストーリーは無い方が美しく終わっている気もします。
その微妙な蛇足感のせいか、最終的にはテーマ性があやふやになった感も少々ありました。


 絵は全体的にとても美麗。
白や青を基調とした淡い塗りのCGは作品の透明感を増幅させています。
青空や海を背景に、イチイチ美白な登場人物が出てくるCGはそれだけでご飯3杯いける程。

 むしろ背景を主眼に置いている構図のCGも多く、
それでいて月や夕日を背景とした赤や黒基調のCGとの対比。
作品イメージを聞かれたら、これらの風景を思い浮かべる人も多いんじゃないでしょうか。
作品全体のイメージを象るという意味では素晴らしいCGだと思いました。

 キャラクターも丁寧かつ綺麗に描かれていて、CGは全体的に良い感じ。
ただ、だからこそ上で述べたアフターシナリオの方向性と絵のイメージの方向性に
ちょっと齟齬があるかな、といった印象もありましたです。


 結局、どこを見るかによってこの作品のイメージは変わる、
というか、どこを見たいかによってイメージが変わる作品だとも思うんですが、
私としては綺麗な作品だったなぁ、と。
青くて、白い話だったなぁ、と。そう思いましたのでした。



エロシーンについて 
 エロスは基本的に薄め。

 推奨された通りにやってたブラインドネスモードでのパンチラシーン、
見たくても見られないそのもどかしさは新手のプレイか!?
とか思いましたが、普通にモードは変えられるので御安心をば。
もどかしさを楽しみたい貴方には是非。

 他は普通にノーマルなプレイがメインですが、一つだけ異色なシーンも。

 主人公が完全に入らないレズ&アナルでのエロシーンはドッキリガクガク。
何か知らないけど雰囲気に呑まれてそんな展開になってたという、
エロに至るまでの過程を丹念に描写したこのシチュエーションはかなり斬新。
その新鮮さがあってか、ここだけ恐ろしい程にエロかったです。

 エロメインの話ではないですが、これは一見の価値アリ。



その他・システムとか 
 実質的に選択肢ナシのビジュアルノベル形式です。
攻略順が決まってる一本道と言えるでしょう。
ゲーム性を求める方には厳しいかもしれません。

 最初に選ぶことになる視覚制限モードはちょっと斬新。
シナリオ上での演出と同期することになりますが、それほど劇的じゃなかったのは残念。
いっそ真っ暗にすれば…とまでは言えないですが、(風のリグレット?)
このモードによって序盤の圧迫感は増していると思いますし、
その試み自体はかなり面白いと思います。

 スキップやコンフィグなどのシステム周りは普通。
クリック時のボイスのon/offが選べるのは自分としては珍しく、好感触。
他は一通り揃ってるので、ダメって事は無いと思います。


 音楽はかなりのヒット。
作品イメージを助長させる、透明感のあるBGMやエンディングの歌は個人的にはかなり良。
コレ単体で聴いちゃうゾ、って勢い。



 感想部分でも書きましたが、どこを見るかによってけっこう印象が変わる作品だと思います。
私は透明感を推しましたが、そうは感じない人も多いかもしれません。
途中のドロドロとした展開やはやみのツンデレっぷり、
またはアフターストーリーでのラブラブ模様の印象が強い人も多いかもしれません。

 それは一貫性が無いとも受け取れ、
そういった意味で本作は胸を張ってココがオススメだ!と言えないのですが、
やっぱ自分としてはこの作品はサブタイトル通り『砂の足跡』の話なのかなぁ、と。

 それを私は綺麗な話だと思いました。
タイトルから喚起されるイメージそのままとは言えないかもしれませんが、
本作からは水みたいな綺麗な何かを感じ取れるかもしれません。



評価 
総合 70
シナリオ 75
音楽
80
萌え 60
泣き 40
エロ 2

萌えキャラ:はやみ

 1914 ちょっと真面目に書くと痒くなる、だからテキトに一言感想(ねたばれあるかも)


戻る