|
|
この青空に約束を―
ショコラ・パルフェに続き丸戸シナリオ3作目。 評判の高いシナリオライターかつ話題作なので期待買い。
問題は、ショコラとパルフェを完全に積みっぱなしにしている事ですが、 はたして、やってもいないのにライター買いとはどういうことだ、
そんな思いも駆け巡ったものの、
どうせなら「前作やってない人の見地」ってのも面白いかな、とか思い購入。
これが面白かったらショコラもパルフェも楽しく出来るぞ、的な。 というワケでどんなシナリオ傾向なのかとかは全然知りません。 期待感は高く事前情報はほぼ0、まっさらな視点で開始。
1年後には多くの人が離れてしまう離島
それに伴い取り壊される古ぼけた寮
別離のカウントダウンの中で真っ直ぐ、熱く生きる少年少女達
家族を思わせる寮でのコミュニティで生まれる、涙と、笑いと、ぶつかり合い
そんな限られた今をがむしゃらに駆け抜ける、若者達の青春ジュヴナイル
ひとまず最初に書いておきたい
『とにかく掛け値なしに面白い』
最近やった中では久々に、やってて純粋に「面白い」と思える作品でした。
シナリオ的にはこの上なく王道路線。 笑いアリ涙アリ熱血アリの学園生活と寮生活を軸に物語は進みます。
会話文中心で、モノローグが極端に少ないテキストには初めのうちは少々戸惑いましたが、
テキストのリズムとかテンポの良さは最高峰の部類。
時折判りづらいシーンもあるものの、軽快なテンポでグイグイと読み進められます。
狙っているのかいないのか、同じように会話文中心のゲームは多くありますが、
その中でも群を抜いて読んでいて面白いテキストでありました。
このへんはライターのセンスでしょうか、合う合わないは人によりますがギャグも上々。
シナリオ展開によるメリハリも効いてて流石の出来。
ここまで会話文が多いのに各キャラクターがとてつもなく立っているのは
中々真似出来ない事ではないでしょうか。賞賛に値すると思います。
その秘訣は主人公による会話文での心理描写と、それによる読者の誘導。
会話文の中に上手く状況描写や説明を入れ、
そうとは感じさせないくらいの自然さで読者に情景を読ませる事に成功していると思います。
この、「ごくごく普通なんだけど分かり易い、面白い」ってのは相当のセンス。
このセンスが無ければ何の面白みも無い平坦なテキストになってしまいます。
こういったセンスは高橋龍也氏に近いかも。
万人向けなんだけど面白いってのは神業の領域。
誰が読んでも確実に面白いとまではさすがに言い切れませんが、
大きなクセもなく、多くの人に受け入れられるテキストだと思いました。
それでいてシナリオも大満足の出来。 王道ながらも、波乱含みの展開で飽きさせること無く物語は進みます。 各ルートそれぞれに大きな展開があり、 「毎回毎回よく考えつくなコレ」 と呆れてしまうくらいの展開。(褒め言葉)
また、「あったかい」系のエピソードにも涙ジャジャ漏れ。
単に「持ち上げて落として」お涙頂戴系の泣きでは無く、
ホロリと涙を誘う良い話の数々に、私の涙腺も我慢汁。
今イチ「ぶっ壊した時の悲しさ」系の泣きが苦手な人にもオススメです。
他社作品かつ他のゲームを引き合いに出すのもアレなんですが、
主人公と仲間達の寮での生活模様とも相まって、『家族計画』を思い起こさせるシナリオでした。
そしてカウントダウンから予想される最後のカタルシス。 …は、本当に最後の最後だったりします。
各ルートにおいて、序盤の展開から予想されるモノは実は無かったりしますが、
これは構成上仕方ないのかもしれません。 1年という期間を各ルートで全てやっていたら物凄いプレイ時間になりそうです。
この辺りは多少拍子抜けする所もありましたが、
最終的にはキチンと期待に応えてくれる上に、
最後と思わせた後にさらに疑問を解決してくれるシナリオも登場と、
痒い所にも手が届くかのような作り。
「ここをこうして欲しかった、ああして欲しかった」
という不満点が全く無いのは、シナリオの良さだけでは無く、
1つのゲームとして完成させたスタッフの尽力による賜物でしょう。参ったぜ戯画。
また、エロシーンも上々。 これもテキストセンスによるモノなのか、いい感じに独占欲を刺激する出来。
各ヒロイン3シーンくらいですが、
それぞれに特殊嗜好なシチュエーションが割り振ってあったりして特殊な人も満足するかも。
上手い具合に好きなヒロインとシチュエーションが合えば、
恐ろしいまでのパワーを発揮するエロシーンかもしれません。
個人的には自分のロリコンっぷりを再認識するロリキャラのロリ具合にロリ萌えでした。
意味わかりませんね。でもロリも安心。ロリじゃない人も安心。
そんな本作品。
どこまでも青春、どこまでも熱血しているキャラクター達をスパイスに、
最後まで飽きる事なく楽しむ事が出来ました。
青春学園モノが好きな人には絶対的にオススメの作品です。
ゲームを始めたらとりあえずシステム設定を最初に開く私ですが、いきなり驚愕。 尋常じゃないくらい設定の種類が多かったです。
そして簡易型場所移動選択シーンになって驚愕。 セーブ&ロードへのショートカットと、イベントチャートの表示。
システムで素晴らしいと思ったのはコンシューマーの、それもKID限定だったりしまして、
正直PCのゲームには全く期待を抱いていないし、とりあえずゲームができれば何でもいいや、
ってスタンスな私ですが、まさかKIDに匹敵するくらいのシステムのPCゲームがあるとは。
完璧です。最高です。 戯画のゲームはこれが初めてだったりするのですが、いつもこうなんでしょうか。 素晴らしいです。見くびっていました。ごめんなさい。
演出面も良。シナリオを大いに盛り上げる演出の数々に舌を巻きました。 オーソドックスながらも、イライラを全く感じさせないシステム&演出です。
音楽も良。これまた演出の一環でもあると思いますが、 「この音楽が流れてきたら熱い」とか 「この場面でこの音楽はズルイぜ、涙が出ちゃうぜ」とか こういう音楽があるゲームは良いですね。
シナリオだけでなく、システムや音楽でも最高峰の作品であったと思います。
ちなみに、 「やってない人から見たショコラやパルフェとの繋がり」
ですが、全く気になりませんでした。多分無いと思います。
やってないので繋がりがあるのかどうかもわかりませんが、
この作品のみプレイしても全く問題は無いと思います。 BGMで過去戯画作品の曲が流れるくらい。(知らないけど) ご安心。
テキスト、シナリオ、音楽、泣き、エロ、演出、システム、全てにおいて高次元。 自分としては何も不満点の無い作品でした。
何の不満点も無い、=100点、なような気もしますが、
減点方式の付け方はしていないので次点である95点とさせていただきます。(5点刻み)
上手く言葉に表しにくいのですが、全部満点と言っても過言では無い出来。 しかし、何かしら「突き抜けた」モノが欲しかったので100点では無いということです。
それはジャンルのせいであるかもしれません。 青春モノ、学園モノという中ではこれ以上無いくらいの良作でした。 王道でありながら、ここまでまとまった作品は初めてだと思います。
しかし、学園モノとしてこれ以上無い程に王道だったからこそ、
突き抜けた何かが無かったとも思いました。
完全に形成された世界観の中での、まとまってて、笑えて、泣けるんだけど、
逸脱はしない展開。逸脱したら王道ではないですもんね。
でも本当に面白かった。何の不満も無い。惜しみなく100点をつけたい。 しかし、点数制を採用している以上、自分の点数方式に嘘はつけない。
上手く書けないので、そんな私の心の機微を読み取っていただけると幸いです。 そしてそんな、心が揺れ動く程の良作であったという事も汲み取っていただけると幸いです。
総合 |
95
|
シナリオ |
90
|
音楽 |
80
|
萌え |
85
|
泣き |
85
|
エロ |
3 |
萌えキャラ:全員
|
|
|
|