やった日 06.3/26
絶頂

雪影 -setuei-



試合前のコメント
 田中ロミオ一推しサイトとして、
とりあえずトップページに「次の田中ロミオゲーム」項目を作ってみたものの、
本人が書いたゲームは発売される気配が無く、
「企画監修でもいっか」
となんとなく紹介してしまった手前、やらなきゃいけないような義務感に追い込まれた。
義務かよ…。

 というのは理由の半分くらいで、もう半分は体験版が割と好評だったらしいので。
せめて自分でやれよ…。らしいって何だよ…。



ストーリー概要
 今までありそうで無かった、「冬しか会えない想い人」的なものをベースに、
ツン(冬以外)→デレ(冬)
といったロングスパンでのアップダウンを実現した期間限定雪国生活体験姉ベンチャー。



シナリオの感想とか
 まず第一に思ったのは、
「テキストが尋常じゃなく素晴らしい」という事でした。


 田中ロミオ氏がシナリオを書いているワケでは無いということで、
正直全く期待していなかったのですが、ロミオ氏ばりの語彙の豊富さに戦々恐々。

 多彩な形容詞と副詞による修飾語や比喩の多様さはエロゲで言ったら
「神樹の館」に似てるかも。
むしろエロゲより小説寄りと言った方が良いかもしれません。

 こういった文章はテンポが犠牲になる側面もありますが、
文章を読み慣れた人にとっては読んでいて面白いテキストだと思います。


 それでいて、「3行アドベンチャーゲームの作法」にも乗っ取っています。
CROSS†CHANNELのレビューでも書きましたが、
修飾語の多さの割にはセンテンス自体は短めで、
意地でも3行以内に収めてくるという新聞編集者のようなプロの技。

 それでいて時折、文節でクリックさせるようなメリハリを生かす演出もあり、
AVGの文章としてはかなり高いレベルなのではないでしょうか。

 そういったメリハリを付ける為によくやりがちな、
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ―――」
みたいなカタカナ羅列も、ほとんど見受けられず。
このへんはプレイヤーの好みによると思いますが、小説寄りと言った所以でもあります。

 さらに、そんなテキストの調子は終始一貫しています。
「プロローグだけ何か頑張って難しい言葉を使ってみたよ、
 中盤くらいから会話ばっかになって挙げ句エロシーンは5クリックだけど」
みたいなゲームはけっこうあったりしますが、本作ではまるで止まる事を知りません。
徹頭徹尾一貫した文章力、これも特筆すべき点でしょう。


 しかしそれもまた一長一短。
読みやすい文章、理解出来る文章を書くこともプロとしては重要。
識字率じゃないんだから、一部の人しかついて行けない文章を書いても意味は無い。
久々に知らない単語が出たりして、そんな事も思ったり。


 ただテキストが上手いだけでは面白い作品とは言えませんが、
そこはやはり企画の人が多少は考えていたのか、
「姉萌え」の、その姉自体がそもそも謎の存在という大きな謎で物語を引っ張ってくれます。
そこに民俗学的なモノが絡みつつ、中盤くらいから軽くミステリ&ホラーな方向へ。

 一見、「姉との萌えエロ蜜月アネベンチャー」って感じのゲームですが、
禁忌とか背徳感が強く書かれているので、
「お姉ちゃん好き好き〜むちゅー」
みたいな萌えエロ展開方向性を期待すると肩透かしかもしれません。


 むしろ退廃。むしろ背徳。
シナリオの感じ方は千差万別だと思いますが、
私の場合は人として堕ちていく独特の退廃感を強く意識しました。
なかなか他のエロゲでは無い方向性ですが、アリっちゃアリかな、と。

 ただ、惜しむらくは、もう一つか二つくらい大きな展開とか謎とかが欲しかったかな、と。
1つの大きなテーマと物語の核はありますが、
欲を言えばこの文章力を用いたトリッキーな展開も見たかったです。


 そんなシナリオ、何だか絵がアレなせいもあるのか文章ばっかり読んでしまい、
没入度はかなりのモノ。もっともこれはマイナス点ですが。絵が。絵がね。
絵をあまり気にしない私でも気になる出来。こればっかりは。
物凄く立体感ゼロ、12年くらい前っぽい絵柄でげす。ビミョ。


 ここまで書くと真っ向勝負のシナリオゲーっぽいですがエロシーンは異様に豊富。
むしろエロ率90%くらいじゃないか、そんな勢いでエロシーンを畳み掛けてきます。

 そんなエロシーンですが、テキストでのエロ度は濃厚。
グチリ、ヂュパ、などというエフェクトもグッド。エロスを掻き立てます。
また、間髪入れずに2回戦に突入したり、全体的な尺の長さもかなり長い方だと思います。


 でもね、疲れた。というか、それよりも早く話の続きが読みてぇ。
そんな、エロゲの尊厳を損なうかのような発言も久々に私の口から出たり。
てか何だか勿体無いなぁ。こんだけ上手いのに。
実質的なヒロインは2人の上、エロシーンばっかじゃないか。
しかもそれをちゃんとこなしてるのが何か勿体ねいぜい。


 そんな本作、
・文章がしっかりした雪国っぽい話が読みたい
・それでいてエロスも
・絵は比較的どうでもいい

 な人へはオススメかも。
全部、自分の主観ですが。



その他・システムとか 
 システムは普通。ああまた同じ事を書いてしまった。

 セーブ・ロードの度に別ウィンドウが開くので少し重かったです。
スキップは早いですが、既読なのに未読扱いの場面(単にフラグの有無?)があり、
少々テンポが悪くなる所も。

 でも致命的に止まるようなモノは無いと思いますし、
システムは良い方なんじゃないでしょうか。
神樹繋がりなのか、さり気なくカレーな紳士の人がプログラムですし。

 音楽はボチボチ。個人的にはピアノ曲がヒット。

 そんな所で。どうか一つ。



評価 
総合 65
シナリオ 75
音楽 60
萌え 60
泣き 10
エロ 1

最萌えキャラ:ゆかりこ

 


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