やった日 03.11月
絶頂

CROSS†CHANNEL



出会い、そして恋に落ちりゅ
 何となく某誌に付属していた体験版をやってみたら、この上ない衝撃。
あまりに面白く、あまりに自分に合っているテキスト。
そしてあまりにも美しい終わり方。

 テキスト運びだけで即購入決定、
いつもは目を伏せてそそくさと過ぎ去るエロゲ売り場へと一目散ダッシュを敢行。
ポイント使ってでも買おうとするその姿に全米震撼、ヨ○バシカメラも震撼したのであった。



ストーリー概要
 とある学院を舞台に、部活を通じ険悪になったり
和解したりする少年少女らの青春グラフティー。

 と見せかけて実は登場人物全員(主に主人公)、
というかその学院自体が×××の集まりで、
それに伴う心のブッ壊れた人達の群像劇。

 と、さらにそう見せ掛けてまだ裏があり、(以下割愛)



あえて違う視点で書けとの電波が来た
 シナリオ面はとにかく秀逸です。
というか何より、台詞の言い回しやギャグ等の文章センスが余りにも自分と似通っていた為、
私にとっての神作となりました。

 (当時の)自分が解り得る最大値ピッタリの文章。
偏向して育った私の脳では中々巡り合えない感動です。
日本語をこれでもかと壊すそのテキストに激しく共感しまくり。

 ただし、人によってはクセがあり過ぎかもしれません。
自分の脳内だけで遙か高みまで勝手に上り詰めてしまったかのような文章は、
合わない人にはとことん合わないと思います。その点、人を選ぶ作品でもあると思います。


 しかし、そんなテキストのみならず、
誰にも真似できないような圧倒的な謎と驚愕に彩られたシナリオ構成は
ただただ見事と言う他ありませんでした。

 世には色々なノベルゲームがありますが、この作品のシナリオは
「ゲームというジャンルでしか成し得ない」
ストーリーと構成だったと思います。
数多の氾濫するノベルゲームの中でそれを達成できたのは奇跡に近い。
それを「狙ってやった」というのが凄い。


 また、ゲームでしか成し得ないシナリオと同時に、
AVGというジャンルを最大限に生かした文章でもあると思いました。

(注※ここで言うAVG(=ADV、アドベンチャーゲーム)とは
いわゆる立ち絵と共に画面下部のウィンドウに1〜5行程度の文章が表示されるゲームです。
画面全体に文字が表示されるゲームはビジュアルノベルと呼称して一応区別しています。)


 一見、ビジュアルノベルに比べ文字表示量が少ないAVGは、
シナリオ面やテキスト面においても貧弱になる傾向があります。
しかし、それを補う為に詳しく描写をしようとすると、
今度は表示される文字が多くなり過ぎてテンポが悪くなります。
このレビュもそうですよね。何行も重なってると読みたくないですよね。
他のゲームを何本もやってみると、意外とこの落とし穴にはまっているゲームが多いです。

 より状況を正確に語ろうとしている為にか、
長い文章を何ページにも渡って見せられる事もままあります。
これではテンポが悪い。クリックするという、AVGには絶対のルールがある為、
いちいちクリックの度に5行全部を埋められるとけっこう嫌な気分になります。
酷い時には途切れて2ページになったりします。


 長かったら長いで悪いとは言いませんが、バランスが悪いのはいただけません。
クリック→1ページに1行→クリック→1ページに5行→クリック→1ページに5行、
などとやられると読み手のリズム感が消失するのです。
そんなに書きたいんだったらビジュアルノベル形式で良いんじゃないか、
とか思った事も多々あります。


 その点、クロスチャンネルではどうでしょうか。
暴走気味のギャグのイメージも強くありますが、
テーマ性を語る際にはかなり克明な描写がされているので
全体的なイメージとしては比較的表示量の多いゲームだと思っていました。

 しかし、他のノベルゲームで経験を積んだ後にテンポを意識して、
再度このゲームをプレイしてみると驚く程に1行表示が多い。
というかセンテンスが極端に短いです。1行どころか5文字くらいだったりします。


 田中ロミオ氏は恐らく意識して1行1クリックのリズムを生み出しているのではないでしょうか。
それほどまでに徹底しています。
それでいて決して平坦な文章というわけでは無い。
このバランスは素晴らしいと思います。

 もちろんそれが最高の形とは言えませんが、
AVGというジャンルを生かし意図的にリズム感を形成しているのは特筆に値すると思います。
この方法をビジュアルノベルでやったら読めた物ではありませんからね。
てゆうかね、読んでて面白いんだ。マジで。

 意図的に1行表示を形成している上、
逆に文字表示量の多い場面での読み手の感じ方の落差もまた計算していると思います。
1→1→1→1…
と続いた中で、突然文字情報量が跳ね上がるというギャップ。
ギャグとして、そしてテーマ性の発露として、その手法を上手く生かしていると思いました。
これもまた、AVGというゲームでしか出来ない表現方法。とにかく田中ロミオ氏に脱帽です。


追記
(とか昔書いたんですが、区切りの上手い下手は多少あるものの、
 意外とやってる人は多かったりします。丸戸氏とか。 )


 最後に。この作品については、何というか、まずやれ、と。
長々と語りましたが、肝心のシナリオの素晴らしさにはほとんど触れませんでした。
そしてそのシナリオこそが、この作品の一番の魅力ではないかと思います。
というか私程度の貧弱な語彙では語り得ません。

 とにかくやってみて欲しい。そして何かを感じて欲しい作品です。



その他・システムとか 
 システム面はとくに言及ナシ。
一生ループバグがあるらしいんですが、幸い遭遇しませんでした。
これからやる人はパッチ必須です。

 音楽にも高得点をつけてますが、かなりチープなので人によってはスザケンナってなるかも。
アレですね、恋は盲目ですね。タイトル画面だけで泣けるんだから致し方あるまい。



評価 
総合
100
シナリオ
100
音楽
95
萌え
100
泣き 70
エロ 3

最萌えキャラ:ロミオ

半年以上経ても覚えてる度:100%
毎年十月十日はクロスの日と称してプレイしようかと思いましたが2年で終わりました

  じょ


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